
こんにちは。サチコです。
総務課で15年働いていると、「妻を扶養にいれたいんですが・・」という職員さんのお話をよく聞きます。
しかし、一体年収いくらまで、扶養に入れるのか、そのボーダーラインをわかっていない方がほとんどです。
これからパートで働きたい、夫の扶養範囲内で働きたい。という人のために今回は、「扶養範囲内で働く主婦の年収」について詳しく解説したいと思います。
「扶養」には2種類ある
一般的に扶養に入れるというと、「妻の分の健康保険証をもらう」という感覚の人が多いですが、実は扶養には2種類の意味があります。
1、税法上の扶養
こちらは、扶養する側、つまり旦那さんの扶養に入る人は「旦那さんにお得」な扶養です。
簡単に言うと所得税や住民税の控除額が増え、税金が安くなるのです。
会社員が必ず行う年末調整というのには、「配偶者控除・配偶者特別控除」というのがあります。
例えば、奥さんが旦那さんの扶養に入った場合、奥さんの年収が120万ですと、配偶者特別控除が38万円受けれます。
そして、この配偶者特別控除というのは奥さんの年収によって段階的に額が変わるので注意が必要です。



詳細は国税庁のページで確認できます。
ここでポイント!
- 配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けることができる人は、合計所得金額が1,000万円以下の人(給与収入1,195万円以下)で、合計所得金額が133万円以下(給与収入2,015,999円以下)の生計を一にする配偶者がいるという事。
- 旦那さんの収入が1,095万以下ですと、奥さんの収入が150万を超えた所から段階的に控除金額が減ります。
すごく、簡単に言うと「旦那さんの収入が1,095万円以下で、扶養に入っている奥さんの年収が150万円まで」が税法上の扶養では1番お得だよ。
って事です。その後は、奥さんの収入によって段階的に少しずつ控除の金額が減っていきます。
しかし、この税法上の扶養はきちんと理解している人が少なく、年末調整でも申告漏れの方が沢山いらっしゃいます。
奥さんが社会保険に入っていても、年収が201万以下ならば税金の控除が受けれます。
毎月の手取り額を決める大事な年末調整ですので、申告漏れのないようにきちんと会社に提出しましょう。
2、社会保険上の扶養
これが一般的に知られている扶養だと思います。
職員さんで、「奥さんを扶養にいれたい」という場合も、この社会保険上の扶養が多いです。
こちらは、旦那さんの健康保険や厚生年金の被扶養者になることです。
もちろん最近は逆の場合もあります。



女性の活躍する場が増えてきましたので、「旦那さんが休職中で奥さんの扶養に入れる」という事も珍しくないですよ。
被扶養者になると、扶養者と同じ社会保険に加入することとなり、被扶養者は自分で社会保険料を納める必要がありません。
国民年金や国民健康保険料って自分で払うと年金料だけでも16,610円(月額)かかってしまいます。
それが扶養に入るだけで無料で加入できますってなると年間199,320円のすごい節約になりますよね。
本当にありがたい制度だと思います。
この社会保険の扶養というのは、扶養に入る側、つまり奥さんが旦那さんの扶養に入るなら「奥さんにお得」な扶養です。
しかし、ある程度の年収になると扶養を外れ、自分で社会保険を払わなければならない義務が生じます。
その額が、「130万円」です。
この130万円を意識して働いている主婦の方も多くいるのではないのでしょうか。
しかし、2016年の10月から、社会保険の対象が拡大され、ある一定の企業では「106万」を超えると社会保険に加入しなければならなくなりました。
ある一定の企業とは
・従業員数501人以上
・収入が月88,000円以上
・雇用期間が1年以上
・所定労働時間が週20時間以上
・学生ではない
この88,000の額の中には、交通費や残業代は含みません。しかし、社会保険料を計算する時に使う標準報酬月額の等級を決める際には、交通費や残業代等を含めます。



うーん、ややこしいですね。
給与計算する時には注意が必要な所です。交通費や残業代が増える分社会保険料が増えます。
扶養の範囲だけを考える時は、88,000円には交通費や残業代、賞与は含まないという事だけ覚えていればいいと思います。
2022年からは社会保険の適用が拡大される!
今現在では、社会保険の扶養の範囲は「130万」、一定の企業では「106万」となっていますが、その範囲が2022年から拡大されます。
2022年10月からは、
- 従業員数100人超(101人以上)規模
- 週の所定労働時間が20時間以上あること
- 雇用期間が2か月超見込まれること
- 賃金月額が8.8万円以上(年収106万円以上)であること
- 学生でないこと
さらにこの2年後には、まだ拡大します!
2024年10月からは、
- 従業員数50人超(51人以上)規模
- 週の所定労働時間が20時間以上あること
- 雇用期間が2か月超見込まれること
- 賃金月額が8.8万円以上(年収106万円以上)であること
- 学生でないこと
つまり、今までは501名以上の大企業でしか適用されてなかった社会保険制度。
これからは、101名以上、51名以上の中小企業でも、パートさんからきちんと徴収してよ!って言ってるんですね。
我々が払っている年金は、2025年には、65歳以上の方の人口は増え、65歳以上の方ひとりを20歳から64歳の方1.8人が支える事になると推計されています。
財務省は、年金の受給時期を延ばしたり額を減らす等の対応をしていますが、それでも財源は足りないんでしょうね。
少しでも多くの人に社会保険料を払ってもらうための制度改正なのだと思います。
これからパートを始めたいという方や、今扶養に入っている方は2022年の制度改正を念頭に置いて働き方を考えていかなければなりません。
もちろん、企業側においてもその負担は大きいです。
社会保険は労働者と折半ですので、単純に社会保険に入っている人が多いほど企業の負担も大きくなります。
お勤めの企業側でも、制度改正により何かしら雇用契約が変更になるかもしれないので確認しておきましょう。
「扶養内」で働く壁とは?
パートで扶養に入っている方は、よくこの「壁」という言葉を耳にするのではないでしょうか。
いくらまで働けば、扶養から外れるのか、税金がかかるのかというボーダーラインがきちんと国で決められています。
そのボーダーラインを「壁」というんですね。
この「壁」をしっかり理解していないと損してしまう事もあるので、きちんと理解しておきましょう!
100万の壁
住民税が発生する額です。
自治体によりますが、月額何百円程度ですので家計への負担はそれほどないでしょう。
旦那さんの扶養に入っている場合、旦那さんの扶養控除額は、満額(38万円)受けれます。
103万の壁
所得税が発生する額です。
こちらも月額何百円程度なので家計への負担はそれほどないといえます。
所得税ですので、何か医療保険や年金保険に入っていれば年末調整で還付金として返ってきます。
そして、旦那さんの扶養控除額は満額(38万円)受けれます。
103万までの壁はあまり意識しなくても大丈夫なようです。
106万の壁
こちらは先に説明した、一定の企業で社会保険に加入しなければならない額です。
社会保険に加入するという事は、手取りの額が減ります。
家計にとっての負担は大きいかもしれませんね。
例えば、年齢や住んでいる都道府県にもよりますが、年間20万円ほど社会保険料や税金で差し引かれます。
ですので、106万の手取りを取り戻すには、年収125万以上は必要になるでしょう。
そして、旦那さんの扶養控除額は、満額(38万円)受けれます。
注意点として、旦那さんの会社によっては、扶養手当が支給されている所があるかもしれません。
1カ月に何万円も支給されている所であれば、扶養を外されると損になるかもしれませんので確認しておきましょう。
130万の壁
こちらは、106万円で対象にならなかった方も社会保険に加入しなければならない壁です。
そして、106万円よりも社会保険料も上がり、手取りの額が減りますので家計に大きなダメージかもしれません。
こちらも年齢や住んでいる都道府県にもよりますが、手取りの額を取り戻すには、最低でも150万以上は必要であるといえます。
旦那さんの扶養控除額は、満額(38万円)受けれます。
150万の壁
税法上の扶養の時に説明しましたが、こちらの壁を超えると段階的に旦那さんの税金の控除額が減らされます。
段階的にですので、それほど家計へのダメージは多くないとは思いますが、旦那さんの住民税や所得税が増えるという事だけ頭に入れておいてください。
201万の壁
201万6千円を超えると税法上の扶養から外れます。
社会保険の扶養からはすでに外れていますので、全ての扶養から外れるボーダーラインとなります。
この金額になると、手取り収入も増えていますので、扶養に入るよりはメリットが大きいと言えます。
パートでは社会保険に入ると損?
このような質問をされる事がありますが、確かに月々の「手取り額」を考えると減ってしまって損だと感じるでしょう。
しかし、社会保険に入るという事はメリットもあります。
社会保険に入るメリット
そもそも社会保険は会社と折半ですので、支払うべき保険料の半分を会社が負担してくれます。
もし自営業者の場合は、国民年金や国民健康保険ですので全額自己負担となり、社会保険より多くの金額を支払わなければならないかもしれません。
そして、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2階建てになるので将来もらえる年金の額は上乗せされます。
年金額が減らされる可能性がある将来を考えると、ここは大きいのではと思います。
また、万が一の時の「障害年金」や「遺族年金」も上乗せされます。
その上、ケガや事故になった時会社を休んだ場合に「傷病手当金」という給与の3分の2を保証してくれる制度もあります。
持病などがあり民間の保険に入れない方などにはとても手厚い保証だと言えます。
- 将来受け取る年金の額が増える
- 障害年金・遺族年金の額も上乗せされる
- 傷病手当金を受けられる
社会保険に入るデメリット
逆に社会保険に入ると何かデメリットなのかと言うと、単純に手取り額は減ります。
少し扶養の範囲を越した年収ぐらいだと、引かれる額の方が多く「損だ」と感じる事があるでしょう。
もちろん、扶養の範囲を超えたからと言って「損」なのではなく、保証が手厚くなったというだけです。
しかし、家計のやりくりが厳しく、これ以上働くことが困難な時は、扶養の範囲内で働き手取り額を減らさないほうがいいかもしれません。
また、配偶者が扶養手当などをもらっている企業にお勤めの場合は、社会保険に入る事によってその手当がなくなる可能性があります。
こちらもきちんと確認し、社会保険に入ることのメリットと比べて考える必要があるでしょう。
- 手取り額が減る
- 配偶者の扶養手当等がなくなる可能性がある
まとめ
2022年の年金法改正に伴い、社会保険の扶養範囲も変わってきます。
これからパートで働きたいと考える主婦の方、「扶養範囲内で働くのか」という事をよく考えてお仕事を探してみてください。
そして、家計の見直しをし、今後の働き方を考えていきましょう。
私は扶養の範囲内で働きたい!と考える人には、在宅ワークという選択肢もあります。
今は主婦の方も在宅でライターやデザイン、得意な事をして収入をあげています。
おススメのクラウドソーシングを紹介していますので、こちらの記事も参考にしてみて下さい。


また、外に出て働く事を考えられている方は、きちんとその就業形態を理解してくれる会社を選びましょう。
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社会保険の制度を理解し、自分に合った働き方を検討していってくださいね!